対処すべき課題

今後の世界経済の見通しにつきましては、北米の景気は好調であり、欧州も堅調でありますが、中国をはじめとする新興国の景気減退リスク、資源や宗教に関連した問題、さらには、昨年の英国EU離脱問題に続いて本年は米国新政権等、予想外の事象発生が続いており、これら市場に重大な影響を及ぼしかねないリスクの増大によって先行きの不透明感が拡大しております。国内においても、経済政策やオリンピック等による需要増加によって国内生産も短期的には増加しておりますが、生産拠点の海外移管や人口減少によって中長期的に市場が縮小していく可能性が高まっています。
このように先行きが不透明な事業環境の中でも、当社グループでは、国内事業の市場縮小に対応した改革を行い、海外事業においてもアジア地域に加えてその他地域への進出によって強化・推進し、持続的成長を実現していくために、以下を対処すべき主要課題と捉えております。

(1)国内事業のパラダイムチェンジ推進

当社グループの売上シェアの約3割を占める国内製造業向けアウトソーシング事業においては、取引先の国内メーカーがメイドインジャパンの付加価値低下によって国際競争に巻き込まれ、開発部門の現地化や製造部門のさらなる海外移管が進み、人口減少も加わって中長期的に国内市場が縮小することは不可避であると認識しております。
その一方、IT分野は一定のサイクルで金融機関等のシステムが更新されるような一定の需要に加え、様々なモノのインターネット接続が進むIoTやビッグデータビジネス、クラウド化といった市場拡大が見込まれます。また、建設分野も、老朽化や道路・鉄道をはじめとしたインフラ拡大の需要が持続して見込まれるうえ、震災復興やオリンピック等によって需要は拡大しております。さらに、米軍基地内施設向け事業やコンビニエンスストア向け事業は、景気変動に左右されにくく相応の規模を有しています。
このような状況に対して、当社グループでは、大きな市場規模があり今後も需要拡大が見込まれるこれらのIT分野や建設分野、さらには、景気変動に左右されにくく相応の市場規模がある米軍基地内施設向け事業やコンビニエンスストア向け事業にも注力し、国内の事業分野を製造業向けからこれらの分野にパラダイムチェンジしてまいります。

(2)国内法改正への対応

中長期的には縮小する見通しの国内の製造業向けにおいて、短期的には、メーカーは、事業再構築を実施して国内生産現場における自社正社員の圧縮に動いていることに加え、労働者派遣法の改正による派遣活用の利便性向上にも後押しされて、一時的な市場拡大が見込まれます。
労働者派遣法においては、利用者の利便性を高めるとともに派遣業者の責任を強化し、派遣社員のキャリア形成をより重視する改正が行われました。この改正に伴い、製造派遣は利便性が向上し、メーカーが高コストで抱える期間工から派遣へシフトしている一方、技術者派遣は、業者に対する責任強化といえる特定派遣の一般派遣への集約により、今後、事業から撤退する業者が大量発生すると予想されます。また、発注者であるメーカーは、派遣活用による変動対応を求めながら、世論でもあり法改正の趣旨でもある安定雇用を保つという、相反する課題を両立させる高度なニーズが高まると思われます。
製造派遣の動向に対して、当社グループは株式会社PEOを設立し、このメーカー直接雇用の期間工を常用雇用の派遣社員として迎え入れ、労働者の雇用安定を図りながら、派遣という形で人材を流動化させてメーカーの生産変動対応ニーズにも応え、この需要拡大に対応してまいります。
また、技術者派遣を中心に、法改正に対応できない多くの業者に対して、一般的な機械・電子系からIT系や医薬系に至るまで幅広い分野の顧客基盤を持つ当社グループの強みを活かし、事業の受け皿として業界再編をリードしてまいります。

(3)海外事業の拡充推進

主要取引先である国内メーカーは、少子高齢化によって縮小する国内市場における事業を縮小させる一方、継続的な経済成長を見込める新興国や北米市場での事業を拡充させる傾向にあり、当社グループも国内市場だけでは大きな成長戦略が描きにくくなってきております。
当社グループでは、このような状況に対応するために、世界有数のマーケットとして成長が見込まれるASEAN地域をはじめとしたアジア地域での人材ネットワークを確立させるとともに、欧州や南米へも進出し、海外15か国現地スタッフ2万5千人を超えるグローバル人材サービスグループへと成長しました。
今後は、M&Aしたグローバル子会社のガバナンス構築等に努め、一層のキャッシュフローを創出する事業体制を確立し、さらなる飛躍への基盤を固めてまいります。

(4)M&A及びアライアンスによる成長の加速

当社グループでは、国内事業においてこれまでの中心であった製造業向けに加え、今後成長が見込まれるIT分野や建設分野において、経営資源を補完・強化するM&Aや他企業とのアライアンスを積極的に推進いたします。これにより、国内市場における確固たる地位を築き、付加価値の高いアウトソーシングサービスを提供してまいります。
また、海外事業においては、現在展開する地域や進出を目指す北米といった巨大市場において、グローバル企業のM&Aや現地パートナーとのアライアンスを積極的に行い、これまで日系メーカー向けに培ってきたアウトソーシングノウハウと融合させた高度なサービスを提供し、今後激化が予想されるグローバル競争を勝ち抜いてまいります。

(5)人材育成による企業体質の強化

人材を活用したビジネスを行う当社グループは、人材を最も重要な資産として捉えております。人材を適正に扱うため、また人材を扱った各種サービスを適正に提供するための基礎的な知識・能力や、生産現場における労務管理能力及び生産管理能力の向上への教育・育成を徹底し、また、高度・多様化し続ける顧客ニーズに迅速、柔軟かつ的確に対応するためにも、優秀な人材確保及び人材育成を重要課題として取り組んでおります。
特に今後は、当社グループの新規分野及び海外分野の経営を展開できる、世界で通用する規律・遵法意識を兼ね備え、多様な知識と経験を有する有能な人材を、国籍や性別を問わず、グローバルに採用・教育することが急務です。
また、グローバル経営の視点に立った同一目標・同一管理手法を確立し、加えて、内部統制システムを国内グループのみならず海外子会社まで適用し、当社グループ全体のガバナンス強化、コンプライアンス体制の拡充を図ります。