zz株式会社アウトソーシング
100-0005
東京都
千代田区
丸の内1-8-3

対処すべき課題

今後の世界経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる深刻な影響は後退しつつあるものの、変異ウイルスによる感染拡大のみならず、ウクライナ情勢による地政学的リスクの高まりや、インフレ圧力の高止まり、金融引き締め強化など、国際情勢に重大な影響を及ぼす事象の発生が続いており、これらのリスク増大によって世界経済は、不透明感がなお色濃い状況であります。
当社グループでは、このように先行きが不透明な事業環境にあっても、持続的成長を実現していくために、以下を対処すべき主要課題と捉えております。

(1) ガバナンス体制の強化

グローバルに事業拡大している当社グループでは、買収した会社も含めて上場企業のグループ会社にふさわしい健全な経営を行う必要があります。これを継続して実現するため、グローバル経営の視点に立った同一目標・同一管理手法を確立し、加えて、内部統制システムを全社に適用し、当社グループ全体のガバナンス強化及びコンプライアンス体制の拡充を図ってまいります。
当社は、2022年2月22日に株式会社東京証券取引所より改善報告書の徴求及び公表措置の通知を受け、2022年3月8日に改善報告書、2022年9月22日に改善状況報告書を提出しております。ステークホルダーの皆さまに、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。当社では、再発防止策の実行による内部統制の整備・運用を図るとともに、当社グループにおける内部管理体制等の強化に努めてまいりました。当社及び国内子会社において、発生原因となった企業風土改革・従業員のコンプライアンス意識の醸成・会計リテラシー向上について一定の成果が現れてきたものと考えております。しかしながら、一部の在外子会社においては、在外子会社側での管理体制の脆弱性やコンプライアンス意識の不徹底が存在し、当社の全社的内部統制として、在外子会社に対するモニタリングが不十分であり、内部統制に重要な不備があると認識しております。
当社は、特に在外子会社におけるガバナンス体制の強化、在外子会社に対するモニタリング機能の強化に向け、以下の再発防止策による内部統制の整備・運用を図るとともに、当社及び国内子会社においても、内部統制の再徹底を図ってまいります。

(再発防止策)
・在外子会社に対するコンプライアンス意識の改革、再発防止策の徹底
・在外子会社の管理体制の見直しによる牽制機能の強化
・当社における在外子会社に対するモニタリング機能の強化
・在外子会社の内部通報制度の整備・運用

併せて、コーポレート・ガバナンスの更なる強化を目的として、2023年3月28日開催の定時株主総会の承認をもって、経営の監督機能と執行機能の分離をより一層明確にし、経営監督機能を強化しながら迅速・果断な意思決定を行うために、社外取締役が過半数を占める指名・報酬・監査の3つの委員会を有し、かつ取締役会から執行役へ大幅な権限委譲が可能な指名委員会等設置会社へ移行いたしました。
今後も、中長期的な企業価値の向上に努めるにあたり、株主、取引先、地域社会、従業員等を含むステークホルダーの皆さまとの堅強な信頼関係の持続的な構築に向けて、自律機能、倫理性の高いコーポレート・ガバナンスを構築し、定期的な検証を行うことを経営上の重要な課題と認識してコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。

(2) SDGs経営の強化

当社グループは、サステナビリティ方針に基づき、社会と企業の持続可能な発展に貢献できるよう取り組んでおります。この活動をさらに強化し、5つのマテリアリティ(重要課題)に沿ってKPIを定めており、事業を通じて社会問題の解決に寄与しながらSDGsの目標達成に貢献してまいります。

(3) 人材育成による企業体質の強化

人材を活用したビジネスを行う当社グループは、人材を最も重要な資産として捉えております。人材を適正に扱うため、また人材を扱った各種サービスを適正に提供するための基礎的な知識・能力や、生産現場における労務管理能力及び生産管理能力を向上するための教育・育成を徹底しております。併せて高度・多様化し続ける顧客ニーズに迅速、柔軟かつ的確に対応するためにも、優秀な人材確保及び人材育成を重要課題として取り組んでおります。
今後も、世界で通用する規律・遵法意識を兼ね備え、多様な知識と経験を有する有能な人材を、国籍や性別を問わず、グローバルに採用・教育すること通じて、企業体質の強化に取り組んでまいります。

(4) 変動の激しい事業を補完する体制の構築

製造系アウトソーシング事業は、生産変動の激しい量産工程に対する人材派遣や業務請負を行っている性質上、リーマンショックのような大きな景気後退時には、急激かつ大量の雇用解約が発生するのに対し、景気回復時の増産時には採用が追い付かず、往時の業績に戻ることのできない同業者が散見され、機会損失が非常に大きな問題となっています。
このような状況に対し、当社グループでは、急な大型減産でもグループ全体では黒字を維持しながら雇用解約せずに人材を確保しておき、その後の増産に即時配属して業績を回復できる体制が必要と考えます。そのために製造とは異なるサイクルの分野や景気の影響を受けにくい分野の事業拡大を推進し、製造系アウトソーシング事業の売上構成比を相対的に抑制しながら、業績平準化による成長基盤の強靭化を目指してまいります。

(5) 成長機会を逃がさない基盤構築

日本国内の人口は減少傾向にあるため人材市場は限定的となり、今後の大きな成長は望めませんが、世界全体では人口は増加傾向にあり、今後30億人増加するともいわれております。当社グループの事業の多くは稼働している人員数に業績が連動しているため、人口が増加し余剰感のある国から不足している国へ、グローバルに人材を流動化させる体制を構築し、この成長ポテンシャル獲得に取り組んでまいります。併せて、人材流動化スキームで移動する労働者をサポートするための事業にも取り組み、雇用を伴わない新たな事業の柱としての確立・発展を目指します。グローバル人材流動ネットワークを確立した暁には、世界一の人材サービス企業への道も拓けると考えており、体制構築に向けた成長投資を推進してまいります。